ごあいさつ
東京にあこがれて、文学にあこがれて、文学をテーマに東京の街歩きをしてみたいと思ったのがきっかけで、いつしか夏目漱石にはまってしまいました。
2016年の漱石没後100年、2017年の漱石生誕150年。節目の年を過ぎようという今、次の節目の年にむかって、漱石を引き継いでゆきたいと、勝手に「漱石文学館」を開館しました。この文学館が、漱石を知り、語り合う場になれば嬉しいです。
2017年10月
勝手に漱石文学館
館長 北野豊
今日のつぶやき
【秘書のつぶやき】

秘書の北澤みずきです。
鎌倉市鏑木清方記念美術館では、鏡花と清方が出会って120年を迎えることを記念して、企画展「幽玄の美に誘われて~泉鏡花と清方の出会い~」が開催されています(10月19日まで)。
日本画家である鏑木清方(かぶらききよかた、1878~1972)は鏡花の文学作品が好きで、鏡花の挿絵をかきたいと志望していました。
1901年8月、初対面の鏡花の印象を清方は次のように記しています。
〈自分の方の事はよくは覚えてゐないが、例の香の図の紋のある絽の羽織を着て、房々とした髪を分け、地の青く見える程揉み上げを短かく刈り込んだ眉目清秀の青年、勿論近眼鏡をかけてゐたことは今と変りはないが、その小づくりな柄が俊敏そのもののやうで、泉鏡太郎といふ本名も、鏡花といふ雅号も、なるほどこの人にして名は体を現はすといふ云ひ古された諺の違はざるを知ると思つた。〉
以後、清方は鏡花の作品で挿絵や装丁を手掛けるようになり「鏡花作、清方ゑがく」の交わりは40年以上続きます。
鏡花が亡くなった翌年には〈ことし節分過ぎ、また奥さんから、泉君の常に愛でてゐた、兎の金具をいたゞいた妻は、残雪の雑司ヶ谷へすぐおまゐりに行つて来た。〉とあり、清方の妻とも親しい交流があったことがうかがえます。また同年に刊行が始まった岩波書店版全集は清方の装丁。〈さて扉の小袖は種をあかすと『寛文ひいながた』所載の模様をそのまゝにぬきうつし。兎は泉さんが最も好んで、身のまはりを常にはなさなかつた、母君がかたみのしるし。鏡花水月にも因んで、この小袖もやう、若し生前に知つて居たら、ゆかりの色に染めて見たか……それとも、この兎の耳は長すぎて可愛らしくないよと嫌はれたかも知れない。〉と書いています。
なぜ鏡花が兎を愛でていたのか、館長がこのたび出版されました『三人の東京――鏡花・秋聲・犀星』を読み、その意味を理解しました。酉年生まれの鏡花は向かい干支(裏干支)の「うさぎ」を大切にし、コレクションも多い。鏡花は逗子に暮らしたことがあり、大崎公園には「うさぎ」の像があるとのこと。
鎌倉の清方美術館から少し足を延ばして、館長の本をお供に、逗子へ行ってみたくなりました。

※引用はいずれも『鏑木清方文集』(白鳳社)より。
※合わせて、『三人の東京――鏡花・秋聲・犀星』特集①をお読みください(43ページ)。

(『館長のつぶやき』より)
新着
連載 漱石こぼれ話』に『25.田端点描』を追加しました。
連載 漱石気分』が完結しました。
21世紀の木曜会』へのご参加、お待ちしてます。
長年の漱石研究の成果をもとに、何ものにも囚われない在野の視点から、漱石を描きます。今までの常識がひっくり返るような事実も浮かび上がってきます。順次、新しい章を追加、掲載していきます。お楽しみに。
漱石に関わる単発のテーマを、思いつくまま、気のむくままに、順次、掲載していきます。漱石気分に書き入れることができなかった「こぼれ話」です。お楽しみに。
漱石に関係あること、ないこと。館長が勝手気ままにつぶやきます。
漱石のもとを訪れる人が増え、漱石の負担を心配した弟子たちが、木曜日に限って漱石のもとに集まるという申し合わせをするようになりました。こうして生まれた木曜会には漱石も顔を出し、集まった人たちも忌憚のない意見を出し合いました。
「21世紀の木曜会」。連載に対する意見、感想をはじめ、漱石に関すること何でも、お互いに語り合い、意見交換、情報交換していきましょう。発言、お待ちしております。
北野豊著『漱石と歩く東京』『漱石と日本国憲法〜漱石からのメッセージ』の紹介と購入方法が書かれています。
漱石の作品を読みたい方、どうぞご利用ください。
クリックすると、「青空文庫」の漱石掲載作品一覧のページへ移動します。
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私のふるさと金沢が生んだ三文豪、泉鏡花・徳田秋聲・室生犀星に関するコーナーです。鏡花については漱石もかなり注目をしており、漱石は鏡花・秋聲に朝日新聞連載の便宜を図っています。犀星は漱石最後の、そしてもっとも才能ある門下生と言われる芥川龍之介と親しくなり、龍之介は漱石が果たせなかった金沢訪問を実現しています。そのような三文豪について、順次、私が書いた文章を掲載していきます。
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