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1.漱石にはまって
自慢することではないのだが、私は教科書に出てくるような有名作家の小説すら、ほとんど読んだことがない。趣味の欄には書くことがないので、読書などと書いているが、後ろめたい思いがする。元来、私は読むことより書くことの方が好きなようだ。そんな私がふとしたことから、夏目漱石にはまってしまった。あまりにも有名な作家であるだけに、漱石の作品を読むことは、かえって軽々しい行動のように思われて抵抗感があった。要は食わず嫌いである。『吾輩は猫である』一冊で、私は漱石の作品の魅力に引き込まれてしまった。
読めば読むほど奥深いものをもった作家であるから、漱石論もじつに多く書かれている。到底そこへ割り込めるものではない。けれども、読むことより書くことの方が好きな私は、読めば何か書きたい。そんなわけで、『吾輩は豚である』などという副産物まで産み出してしまった。
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